家具職人の景色 #7

今日の景色は、家具ができるまでの工程で言うと、ゴールまであとわずかというところです。

どの工程も気は抜けないんですが、ゴールテープが見えてきたこの辺りで、「落とし穴に落ちる。→スタートに戻る」すごろくみたいな展開になっては笑い話にもなりません。そうなると自ずと緊張感も高まってきます。緊張感が高まると同時に、完成の喜びが待っているという期待も高まります。目に見える形になっていくという喜びは、家具をつくる大きな醍醐味です。仕事とはいえ、何回つくっていても気持ちがいいものです。家具職人やっててよかったなと思う瞬間のひとつです。

上の写真のキャビネットCB-01の扉は、2枚が観音開き(両開き)になっています。

その2枚の扉を本体に蝶番で取り付けて、いざ閉めてみると、扉同士が干渉して閉まらなかったり、扉の隙間の幅が上と下とで違っていたりと完璧ではないわけです。

そこで人の目と人の手の仕事です。その微調整をするために、職人が鉋(かんな)を持って、

「シュルルルルルルルル……」

と削っていきます。どこをどれくらい削るかは、職人が見て確かめた情報を元にした感覚です。目と手がつながっているというか、もっと言うと、持っている鉋(かんな)まで、道具までがつながっています。

正直、「シュルルルルルルルル」という音は大げさですが、その鉋から出てくるこの鉋くずをみると、そんな擬音を付けたくなります。巻き舌にもなります。

そうして、微調整を終えて、仕上がった扉の様子がこちらです。普段は気にもならないところだとは思いますが、こんなところにも職人の手仕事が宿っています。

ちなみに専門的なことを言えば、この扉の仕様は「インセット」と言い、これに対するものが「アウトセット」です。本体の枠部分の内側に収まるかかぶせるように外側に収めるかの違いです。一般的に、インセットは扉の四方を均一な隙間に仕上げる必要があるため、手のかかる、技術を必要とする方法です。

さらに、隙間を多く取れば相対的に1mmの違いはわかりにくくなりますが、框組み(かまちぐみ)でつくられたこの扉は収縮による動きもほとんどないことから、埃の侵入を防ぐためにも隙間は最小限にシビアに仕上げます。そうなると、1mm以下の違いでも目視で違いが感じられてしまいます。そのため、この微調整は製品の美しさを保つためにも欠かせない仕事なのです。

Coment (0)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です