ikususuのメンテナンス物語

奈良県にある小さなホームメイドなカフェ。
「4'season」
世の中に星の数ほどある家具の中からikususuのテーブルとチェアを選んでもらい、オープン以来17年間、お客さまとお店を支えてきました。

昨年のちょうど4月、本業で忙しく、家具のメンテナンスまで手が回らないお客さまからメンテナンスの相談がありました。
大切にしてもらっている気持ちがうれしく、できる限りお客さまの気持ちに寄り添った提案をしたいと思ったのを憶えています。

それから少し時間は経ちましたが、今年の初め、お店の営業を続けながらできるようにと、1セットずつメンテナンスしていくことになりました。
お客さまは、子供を里帰りに出す気持ちで最初の1セット目を送られたようで、そこからも深い愛情が伝わってきました。
一気に変わるわけではなく、1セットずつきれいになっていくので、その分メンテナンスの前と後の違いがよくわかっていただけたと思います。
お客さまからは、見違えるほどにきれいで、生まれ変わったような仕上がりに驚いたとお喜びのご報告をいただきました。











言葉は必要ないほどに一目瞭然です。
ひと皮むけて生まれ変わりました。

一般の住宅でも17年という年月は、家具に大きな変化をもたらします。
その変化の中には、傷、汚れなど「経年変化」や「味」というポジティブなとらえ方ができないものもあります。
ましてや店舗での使用となれば差は歴然で、一般家庭の17年より多くの時間が流れていたかのような状態になります。

しかし、無垢材で作られた家具というのは、表面を削ることで新しい肌を見せてくれます。
それは皮膚の再生のようでもであり、昆虫の脱皮のようでもあり、自然の恵みそのものだと思います。
無垢材という限りある資源を使っていることを実感する瞬間です。

無垢材で丈夫に作られた家具というのは、丈夫だから長く使えるだけではなく、きれいにしたり直したり作り変えたりすることで、愛着を持って長く使いたくなるのです。
環境に与える負荷の少ないもの作りということは、長く使えるものをつくるという責任でもあります。
限りある資源を使っているのだから、なおのこと。

長く使いたくなる製品であるために、私たちにできることは「家具をつくる」だけではありません。
17年という想いの刻まれたチェアとテーブルから、いろんなことを学ばせてもらいました。

改めて、大切にお使いいただきありがとうざいました。
生まれ変わった子どもたち18年目を迎えます。
18歳と言えば、今ではもう成人です。一人前の大人です。
文字通りひと皮むけて、大人になった家具たちを末永くよろしくお願いいたします。

照井